研究概要 |
ANCAによる好中球の活性化に関しては患者血清中のANCAを塩析、イオン交換クロマトグフィーにてIgGまで精製し、これを材料として用いた。健常人の好中球に対する影響をBoyden Chamber法にてchemotaxis,chemokineticsに関して検索したが、一定の傾向は認めなかった。 患者血清中のサイトカインの定量においてはTumor necrosis facor-α(TNF-α)は活動性のWegener肉芽腫症患者においても検出限界に近く、特に高い値が得られるということはなかった。 血管内皮細胞側のadhesion moleculeとしてのsoluble ICAM1(inter-cellular adhesion molecule-1)はWegener肉芽腫症の活動期の患者血清中において健常人および寛解期Wegener肉芽腫症患者血清に比べ有意に高値を示した。また同一症例においての経時的変化をみると、寛解に伴いsoluble ICAM1の低下を認め疾患活動性との相関が確認できた。すなわち活動期Wegener肉芽腫症患者の血管内皮細胞ではICAM1の発現が亢進しておりリガンドであるLFA-1を発現している好中球が接着しやすい状態にあると考えられた。しかしsoluble ELAM1においては有意差を認めなかった。 好中球側の接着分子として好中球表面のSLexとLFA-1陽性細胞をフローサイトメトリーで測定した結果、未処理の好中球でそれれ陽性細胞がすでに90%以上あり、TNF-αでのprimingやcANCA IgGの刺激などではとくに陽性率に変化を認めなかった。LFA-1のようなインテグリンは一般にrestiong formとactive formがあり、conformational changeによりリガンドに対するアフィニティが変わるとされており、今後binding assayなどの検討が必要と考えられた。
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