鼻の代表的疾患である鼻アレルギー、及び慢性副鼻腔炎での免疫機構の研究のため、培養系を用いて検討を行った。 1.手術により採取した鼻粘膜より上皮細胞の分離・培養を行い、in vitroにてRSウイルスの接種を行ったところ、IL‐1β、IL‐6、IL‐8、TNF‐αの産生がELISA法にて確認された。これらサイトカイン産生に及ぼす各種薬剤の影響を検討したところ、ニューマクロイド(ロキシスロマイシン)やホスフォマイシンでは添加により、濃度依存的に産生の抑制が認められた。サイコサポニンの添加は、10ng/ml前後をpeakにサイトカイン産生の亢進作用が認められた。 2.慢性副鼻腔炎患者の上顎洞より採取した粘膜よりリンパ球を分離・培養したところ、IL‐5、IL‐6、IFN‐γのサイトカイン遺伝子の発現が、polymerase chain reaction法により認められた。さらに、これらリンパ球を、ラミニンやフィブロネクチンをcoatingしたプレート上で培養したところ、サイトカインの発現持続が認められた。 3.鼻粘膜上皮の線毛運動に及ぼすサイトカインの影響をin vitroにてphotoelectrical法により検討を行ったところ、TNF‐α、IL‐6により濃度依存的に線毛運動の障害が認められかつそれぞれの中和抗体により障害が改善されたことから、線毛運動へのこれらサイトカインの影響が考えられた。また、ロキシスロマイシンの併用により、サイトカインによる線毛運動障害に対して阻止作用が認められた。
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