1)内耳液の存在は、内耳における音刺激の伝達や音知覚に必要なエネルギーの供給、感覚細胞の保護といった様々な重要な役割を担っている。今回、我々は、外リンパ液中に特異的に多く存在するね30kD蛋白について、定量的二次元電気泳動法、免疫電気泳動法等を用い、その性状及び意義を明らかにした。30kD蛋白は産制領域に存在する数個のスポットとして2-Dゲル上に認められる。本蛋白は、CSFにも認められるが、正常動物と音刺激動物のあいだに、その含有量の変化には有意差は認められなかった。 本蛋白は、糖蛋白1種であるが、外リンパ液んい特徴的に多く存在することが明らかとなった。 2)内耳組織中のHSPの発現 防音質にて、動物に2000Hz純音120dBにて30分、音響負荷を加える。直ちにモルモットを麻酔、断頭し内耳骨胞を摘出、直ちに人工内リンパ液中にて、蝸牛より内耳組織を、コルチ器、血管条、基底板に分離し採取、湿重量測定。70kDのHSPについて、免疫電気泳動法により、定量的にその発現を内耳組織の部位別に分析した。 内耳液中には、HSPの発現は認められなかったが、内耳組織中、特に有毛細胞層とSpiral Iigamentには明らかに、70kD HSPの発現を認めたる。 この発現の程度は、熱刺激のみならず、大変興味深いことには、音刺激によっても有意に大きくなり、免疫泳動法により、その有意差を定量的に明らかにすることができた。 この事実は、内耳組織の防御と再生にHSPが何らかの関与を示すものとして、大きな興味が持たれるところである。
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