1。視運動刺激により発現する動揺病症状を検討するために、中心窩刺激が主体となる広間隔の線条視標と、周辺視野刺激が相対的に優位となる小円形視標を無数に配置した視標(ランダム視標)の2種類の視標を使用した視運動眼振検査を正常被検者に施行した。その眼振反応と回転感覚などの動揺感との関係を分析した結果、周辺視野刺激の強弱が回転感覚の発現に大きく影響していることが確認された。また、視運動刺激(ランダム刺激)単独による回転感覚は、前庭性刺激として同速度の回転刺激を単独に与えた場合より被検者に対してより強い不快感を与えることが確認された。 2。耳石刺激の関与した水平直線加速刺激に対する動揺病症状と視覚情報との関係を検討した。直接加速度に対する動揺病症状は回転刺激よりも強く、また、同一の回転加速度に対して視刺激の影響をより強く受けることが確認された。 3。以上から、動揺病症状の発現に関して周辺視野刺激が有意となる状況で視運動性眼振が解発される視刺激が多大なる影響を与えること、半規管刺激よりも耳石刺激と視刺激が加算された場合にこの影響がより強いとの結論に達した。
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