研究概要 |
内耳組織は骨に囲まれており,脱灰操作の必要なこと、多量の細胞外液を有すること、膜迷路は2、3層の細胞からのみ構成されていることなどにより、従来の放射性(RI)in situハイブリダイゼーション法を内耳に応用することは困難であった。我々は平成6、7年度に以下の成果を得た。 (1)in situハイブリダイゼーション法のうち、解像力に優れた非放射性(non-RI)法の手法を内耳において確立した。 (2)骨形成に関与するオステオポンチン(OPN)mRNAが内耳において前庭感覚細胞において発現し、OPNが耳石の生成に関与することがわかった。 (3)OPNmRNAが血管条辺縁細胞、前庭暗細胞領域に発現し、OPNが内リンパイオン産生に関与することがわかった。 (4)OPNmRNAは胎生期マウスにおいても成熟マウスと同様、内耳の血管条辺縁細胞、前庭暗細胞、前庭I型間隔細胞、ラセン神経節、内リンパ節嚢に発現していた。 (5)オステオネクチンmRNAは、胎生期マウスの有毛細胞以外のコルチ器構成細胞に発現していたが、その役割は不明である。 (6)Bone morphogenetic protein-4(BMP4)mRNAは胎生期マウスにおいてクラウディウス細胞と思われる部位に発現していた。BMP4は基底板の形成に関与していると思われる。
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