研究概要 |
平成6年度は本研究課題の基礎データとなる、内耳血管条内細胞内静止電位(基底細胞、中間細胞、辺縁細胞)の測定を重点的に行なった。実験動物はICR系マウスを用い、蝸牛内静止電位(EP)の発達段階と成熟段階に分けてそれぞれ血管条内細胞内静止電位を測定した。以下にその概要を列記する。 1.EP発達段階において (1)生後1〜6日齢の血管条内細胞内電位はすべて負電位が記録された。 (2)生後6日齢の血管条内細胞内電位にはじめて3段階の階段状電位上昇をみとめた。 (3)生後7日齢の血管条内細胞内電位にはじめて正電位が記録された。 (4)生後10〜15日齢の血管条内細胞内電位は内リンパ腔に近いほうから順に階段状の正電位を示すようになりEPの上昇と平行してそれぞれの電位も上昇した。 (5)生後20日齢の血管条内細胞内電位は3つとも正電位を示し負電位は記録されなかった。 2.EP完成段階において (1)生後17〜20日齢のEP完成段階における血管条内細胞内電位は、3つとも正の階段状電位上昇を示し、基底細胞=18.0±6.1mV(N=4),中間細胞=59.3±14.6mV(N=12),辺縁細胞=90.1±7.6mV(N=5)であった。 以上のデータを基礎として血管条内細胞内イオン濃度の測定を予定している。
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