研究概要 |
慢性副鼻腔炎患者の病的気道液中の因子が線維芽細胞のコラゲナーゼ産生を刺激し、また、微小血管内皮細胞と好中球の接着を促進すること、そしてこの2つの現象は抗IL-1β抗体で大部分が抑制されることを見いだした。さらに、このIL-1βはマイクロファージ以外にもin vitroにおいては各種細胞で産生されるサイトカインであるが、慢性副鼻腔炎の粘膜においてoligonucleotide probeを用いた、in situ hybridization法で確認した結果、慢性関節リウマチの場合と異なり、一部のマイクロファージと血管外に遊走した好中球のみにIL-1βのmRNAの発現が認められた。そこで、他のサイトカインの慢性副鼻腔炎の病態における重要性を検討するためにIL-1β,IL-6,IL-8,TNFα,TGFβ1,とそのreseptor I,II,GM-CSF,ICAM-1,ELAM-1,VCAM-1,β-actinの各oligonucleotide primerを作製し、U937細胞・微小血管内皮細胞より調整したmRNAからR-PCR法にて得られたそれぞれのcDNAをすでに、vectorにsubcloningしている。慢性副鼻腔炎患者の病的粘膜より調製したRNAを用いてのnorthern blottingではIL-1β,IL-6,IL-8,TNFαの全てが、量に差はあるものの検出された。また、ELISAによる測定では、慢性副鼻腔炎患者の病的気道液中には、IL-1β,IL-8が多量に認められ、TNFα,IL-1αはほとんど認められなかった。培養繊毛上皮細胞の培養上清では、IL-1β,IL-6,IL-8,GM-CSFが相当量認められ、これらサイトカインが実際に上皮細胞で産生されているか否か、また、慢性副鼻腔炎の病的粘膜でのmRNAの局在の確認をvectorにsubcloningしたcDNAよりDIG labeled RNA probeを作製しin situ hybridization法にて現在進行中である。
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