研究概要 |
平成6年度は16例について免疫学的およびウイルス学的研究を行った.phenotypeの解析では16例全てがMT1またはCD2陽性で,pan-B抗原は全例陰性であった.GenotypeはSouthern blot法にて検索した8例全てにT細胞受容体(TCR)β鎖,δ鎖,またはその両者の遺伝子再構成が認められた.Epstein-Barr virus (EBV) early region (EBER)RNAは16例中14例にin situ hybridization法で検出され,EBNA1とlatent membrane protein(LMP)が検索した9例と7例に免疫組織学的に証明された.さらにSouthern blot法にてEBVのclonalityを検索したところ,検索した7例全てに単一のバンドが認められ,EBVゲノムのclonotypicな増殖が生じたことが示された.phenotypeおよびogenotypeとEBVの関連性を検討したところ,EBV陽性例では検索した8例全てがNK細胞のphenotypeであるCD56が陽性であった.うち3例はTCRδ鎖遺伝子の再構成と発現が認められ,γδT細胞由来と考えられた.4例はTCRβ鎖遺伝子再構成を有するが,発現を認めずTCR"silent"型でNK-likeT細胞起源と考えられた.EBV陰性の2例はCD56が陰性でTCRβ鎖遺伝子の再構成と発現が認められ,matureα βT細胞由来であることが示唆された.以上の成績から本症の多くはEBVがγδT細胞またはNK-likeT細胞に感染し,クローナルな増殖し,腫瘍化したものであることが証明された.以上研究成果を2つの国際学会(4th International Academic Conference on Immunobiology in Otology,Rhinology,and Laryngology. Oita,Japan,April 4-7,1994,および15th European Rhinologic Congress 13th ISIAN,Symposium "Granulomatous Disease",Copenhagen,June 19-23,1994)に発表した.
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