研究概要 |
本年度は進行性鼻壊疸組織のICAM1の発現と血清中の可溶性ICAM-1を測定し,他の頭頸部悪性リンパ腫と比較,検討した.組織内のICAM-1の発現強度はICAM1に特異的に反応する単クローン抗体を用いて免疫組織学的に反定量的(0〜+3)に同定した.進行性鼻壊疸10例と他の頭頸部悪性リンパ腫16例を比較すると,全ての症例の腫瘍細胞にもICAM-1の発現(+1〜+2)が認められたが,進行性鼻壊疸と他の悪性リンパ腫の間では差を認めなかった.しかしながら,進行性鼻壊疸組織の血管内浸潤部位(angiocentric region)ではICAM-1の極めて強い発現(+3)が認められた.血清中の可溶性ICAM-1をELISAにて測定したところ,進行性鼻壊疸患者では他のB細胞型およびT細胞型頭頸部悪性リンパ腫に比較して有意に高値を示していた.また,本年度に経験した進行性鼻壊疸2例についてもEBウイルス学的,免疫遺伝子学的解析を行った.phenotypeはいずれもCD2とCD56が陽性であった.GenotypeはT細胞受容体β鎖の再構成が2例共に,γ鎖とδ鎖の再構成がそれぞれ1例に認められた.さらに2例ともにEBER-RNAとEBNA1が陽性で,しかもクローナルなEBウイルス遺伝子の存在が証明された. 本研究のまとめとしてその研究成果を2誌に投稿し,掲載予定となった.
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