研究課題/領域番号 |
06671740
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
久保 伸夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (70186435)
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研究分担者 |
中村 晶彦 関西医科大学, 医学部, 助手 (90180356)
北尻 雅則 関西医科大学, 医学部, 講師 (60161478)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 鼻粘膜 / ヒスタミン / NO / 細胞内カルシウム濃度 |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)などの血管作動物質の産生によって、鼻粘膜の循環動態において重要な役割をはたすと考えられる血管内皮細胞の機能を、ヒト鼻粘膜由来血管内皮培養細胞の細胞内カルシュウム動態とNO産生能を指標に検討した。さらに、近年注目されている呼気中NOの測定をおこなった。本年度は、昨年度の基礎研究を前提に、ヒスタミン刺激時、ずり応力刺激時、ブラディキニン刺激時、サブスタンス(SP)刺激時の培養細胞潅流液中NO濃度を、SOD存在および非存在下に測定した。その結果、SOD存在下では、NOは無刺激状態でも検出され、SP刺激以外の条件下では、いずれも産生は増加し、I-NMMAによって抑制された。またSOD非存在下では、NO濃度は低下した。これらの結果は、鼻粘膜血管内皮細胞は生理的な血流刺激だけでなく、鼻アレルギーにおけるメディエータ刺激によってもNOを産生し、活性酸素存在下ではNOは消去されることを示唆しており、鼻過敏症の発症過程で、血管内皮細胞において、局所血流障害、虚血一再潅流現象、活性酸素によるNOの消去、活性酸素とNoラジカルによる粘膜組織障害という一連の悪循環が進行している可能性を示した。 近年呼気ガス中に、大気中の1000倍のNOが含まれ、喫煙者やカルタゲナ症候群患者で減少し、気管支喘息患者で増加することが報告されている。さらにこの呼気中NOは肺でなく鼻副鼻腔で産生されていることをしめすデータが増加している。我々は本年度本研究のいっかんとしてシ-バス社製NO分析装置による呼気中NO測定を行い、気管口呼吸や下鼻甲介粘膜切除後の鼻呼吸ではNOは著しく減少するが、経上顎洞手術後には変化がないことを報告した。これらのことは呼気中NOは下鼻甲介粘膜で産生され、上述の結果からは血管内皮細胞がその起源であることが示唆された。様々な気道病態における変化は今後検討を続ける。
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