研究概要 |
(1)申請者等の大きな命題である「apoptosisの機序により頭頚部固形悪性腫瘍が治療可能か」ということに対して、申請者はまず前実験として各種株化頭頚部悪性腫瘍細胞を用い、poptosisを誘導する抗Fas抗体と各種抗癌剤を投与した際のapoptosisの発現の程度を観察比較検討したところ、株化頭頚部悪性腫瘍細胞の間でapoptosisの発現の差があることが解った。 使用した株化頭頚部腫瘍細胞(KB,KBrc,HCS-2,HCS-3,HCS-4)の抗Fas抗体によるapoptosisの発現の程度はKBが最も強く次にKBrc,HCS-2,3,4の順にその発現率が低下した。これはCDDPの感受性と相同性を示した。しかしながらc-fos,c-junの遺伝子発現の程度とは明らかな相関は認められなかった。 (2)次の段階として株化頭頚部悪性腫瘍細胞と同様の実験系で、新鮮頭頚部固形悪性腫瘍から分離された腫瘍細胞を用い抗Fas抗体や各種抗癌剤によるapoptosisの誘導の観察を行い同様の結果が得られるかを検証した。また腫瘍細胞におけるapoptosisの発現な差が、apoptosisの発現に関与すると考えられる各種癌遺伝子の差に起因するか検討した。 (3)新鮮頭頚部腫瘍細胞でも抗Fas抗体でapoptosisの発現がDNA-agarose電気泳動法で確認された。 (4)又SCIDマウス移植腫瘍に抗Fas抗体を局所投与を行うと、その腫瘍の増殖の抑制が観察され、組織学的にapoptosisの発現が確認された。 (5)以上のことは、apoptosisによる機序を解明しそれを応用することで抗癌剤の抗腫瘍効果の増強や耐性の克服が可能ならば臨床的に意義がある。
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