研究概要 |
頭頸部領域に発生する腫瘍は、病理学的に多岐にわたる。そこで良性腫瘍を含む各種腫瘍のin vivoおよびin vitroの実験系を開発することにより今回の研究課題をおこなった。in vitroの実験系で各種株化頭頸部腫瘍細胞(KB,KBrc,HCS-2,HCS-3,HCS-4)に対しapoptosisを誘導する抗Fas抗体の投与をおこなうと、組織学的(光顕的、電顕的)、およびDNA-agarosegel電気泳動法でapoptosisの発現が観察された。しかしながら、その発現の程度は、腫瘍細胞の種類により差を認めた。一方in vivoの実験系において、抗腫瘍剤のプラチナ系薬剤の新規薬剤である254-Sが多数頻回投与により固形腫瘍の耐性発現の可能性が示唆された。この系を用いてapoptosisによる耐性の克服を試みたが、明らかな有用性を示すことはできなかった。しかしながら、臨床上の各種抗腫瘍剤の併用の工夫および使用方法の変更により治療効果が増強し、この機序としてapoptosisの関与が推測された。
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