Vogt-小柳-原田病(VKH)は、自己メラノサイトを抗原とする自己免疫疾患であると考えられているが、その詳細な免疫学的解析はなされていない。VKH患者の前房水中には、多くの細胞が遊出してきているが細胞数が極少数のため、これまでの免疫学的手法では解析が困難であった。今年度は前房水中の細胞、および、ヒトメラノーマ株P--36と長期混合培養した結果得られたP-36特異的細胞障害性T細胞株(CTL)の免疫学的性質を中心に免疫学的解析を加えた。 1.VKH患者の前房水中の細胞を三重染色しflow cytometryを用いて解析したところ、前房水中のCD3^+HLA-DR^+リンパ球の割合は末梢血中より増加していた。また、前房水中CD4^+CD29^+細胞またはCD4^+CD45RO^+細胞の割合は末梢血より有意に増加していた。さらに、前房水中の細胞の大多数がプログラム細胞死(アポトーシス)を誘導するFas抗原陽性細胞であることを確認した。 以上、VKHの病態に密接に関与していると思われる、前房水中の細胞を免疫学的手法により解析したところ、VKHの病態形成にCD4^+CD45RO^+Fas^+細胞が重大な役割を演じていることが示唆された。 2.得られたCTLの各種サイトカイン産生能をRT-PCR法で調べたところ、IL-2、IL-6、IFN-γを産生していることが判明した。 3.前房水中の各種サイトカインは現在測定中である。
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