研究概要 |
平成6年度より現在までに、我々は、以下の知見を得る事が出来た。 1)有色家兎網膜色素上皮修復、再生過程では神経網膜の有無にかかわらず、修復機構が働く。しかし、再生網膜色素上皮細胞は、神経網膜存在化では正常に近いが、神経網膜非存在化では、細胞質を延ばし丈が高く、色素も細胞質頂部に存在し、微繊毛は短い状態であった。 2)再生網膜色素上皮は分裂増殖した小型細胞と正常な大きさの細胞が混在していた。 3)ほぼ単層に再生、修復していたが、一部には重層化を認めた。 4)直径1-2mmの範囲の網膜色素上皮除去部は、術後4日で再被覆される。 5)術後14日で網膜色素上皮の再生は完了する。この時点では、再生網膜色素上皮と視細胞外節にはinterdigitationを認め、新生した視細胞外節を貧喰したphagosomeを認めた。 6)術後21日では、視細胞外節も正常に近く再生紙、再生網膜色素上皮とのinterdigitationもほぼ正常であった。 7)術後6ヵ月以上経過した再生網膜色素上皮も術後21日と同様に機能していた。 8)再生網膜色素上皮8は時に管状形成(tubulo-acini for mation)をとるが、このような細胞形態であても、視細胞外節は正常に比べ短いながらも維持されていた。 9)Bruch膜傷害時における修復1ヶ月以上要し、非傷害時に比べ修復が遅延した。 10)Bruch膜傷害時における再生網膜色素上皮細胞は、一部繊維芽細胞様の未分化な形態を呈していた。 11)Bruch膜傷害時においては、高率に脈絡膜新生血管の発生を認め、再生した未分化な形態の網膜色素上皮細胞により覆われていた。 以上を下記に発表した。 Invest Ophthalmol Vis Sci 35:1711,1994.Invest Ophthalmol Vis Sci 36:252,1994. 第98回 日本眼科学会総会、第99回 日本眼科学会総会、第60回 中部眼科学会総会 上記の知見を得、現在新たに実験的脈絡膜血管新生モデルを作成し、薬剤投与による脈絡膜血管新生の抑制を検討し、網膜色素上皮再生促進による機能回復へ向け実験を進行中である。
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