研究課題/領域番号 |
06671762
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
切通 彰 大阪大学, 医学部, 助手 (10225104)
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研究分担者 |
中村 敏一 大阪大学, 医学部, 教授 (00049397)
渡辺 仁 大阪大学, 医学部, 助手 (60252673)
下村 嘉一 大阪大学, 医学部, 講師 (20162737)
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キーワード | 肝細胞増殖因子 / 増殖因子 / 角膜上皮 / 創傷治癒 / 角膜実質細胞 |
研究概要 |
白色家兎の初代培養角膜上皮細胞、実質細胞および内皮細胞を用いて、recombinant human HGFとEGFおよびKGFを使用してその増殖促進効果を比較した。また、それぞれの因子を混合することによる相加、相乗作用についても検討した。HGFは角膜上皮細胞および内皮細胞に対して、EGFおよびKGFとほぼ同等の増殖促進効果が認められた。しかし、角膜実質細胞ではEGFが増殖促進効果が認められたのに反して、KGFと同様に増殖に対する影響は認められなかった。次に同じく培養細胞を使用して細胞分裂が各増殖因子により促進されているかどうかをBrdUを、用いて比較したが、細胞増殖効果と同様にEGFおよびKGFとほぼ同等の分裂増加効果が認められた。また、recombinant huan HGFとEGFの同時添加により相加効果が認められ、EGFとは異なる機序で増殖を調節していることが判明した。 以上の結果によりin vitroでの角膜上皮細胞、内皮細胞に対する肝細胞増殖因子の効果を検討することができた。この結果によりrecombinant human HGFはEGFおよびKGFとほぼ同等の細胞増殖効果があることが判明した。また、その効果は細胞分裂を促進することによって起こることが判明した。これにより、HGFは眼組織においても生物活性を持ち、その発生や創傷治癒に関与している可能性が示唆された。そこで角膜上皮や内皮細胞に対してHGFを供給しているのは眼組織において存在するのか、あるいはEGFのように涙液から供給されているのかを検討するために、ヒト組織より得られた角質実質の線維芽細胞を培養し、その培養液におけるHGFの濃度を測定するとHGFの産生がすでに知られている耳介の線維芽細胞とほぼ同濃度でHGF濃度の上昇が認められた。これより、角膜組織においてHGFは実質の線維芽細胞により産生され、隣接する上皮細胞や内皮細胞に働きかけるパラクリン様式を持つ増殖因子であることが証明され、in vivoにおける創傷治癒に関与している可能性が示唆された。
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