研究課題/領域番号 |
06671763
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大路 正人 大阪大学, 医学部, 助手 (90252650)
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研究分担者 |
田野 保雄 大阪大学, 医学部, 教授 (80093433)
渡辺 仁 大阪大学, 医学部, 助手 (60252673)
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キーワード | 増殖性硝子体網膜症 / フィブロネクチン / TGF-β / 網膜グリア細胞 / 網膜色素上皮 / retinoic acid |
研究概要 |
増殖性硝子体網膜症発生のメカニズムにおける、TGFβとフィブロネクチンの関与を検討した。平成6年度において、TGFβが網膜色素上皮細胞および網膜グリア細胞によるフィブロネクチン産生を濃度依存性に増大させること、また、これらの2種類の細胞のフィブロネクチンへの接着をTGFβが濃度依存性に増大させることを明らかにして、TGFβが増殖性硝子体網膜症の発症において非常に重要な役割を果たしていることを示した。TGFβによって増大されたフィブロネクチン産生を抑制することは、難治性の増殖性硝子体網膜症の治療につながるので、平成7年度において、網膜色素上皮細胞および網膜グリア細胞によるフィブロネクチン産生を抑制する可能性のある薬剤としてretinoic acidを選び,その影響を検討した。まず、retinoic acidの細胞毒性を検討したが、10^<-8>U/mlから10^<-6>U/mlの間の濃度では、網膜色素上皮細胞および網膜グリア細胞の細胞数に影響を与えなかったが、10^<-5>U/ml以上の濃度で細胞数が減少したので、10^<-5>U/ml以上の濃度で細胞毒性を有することが明らかになった。retinoic acidの培養網膜グリア細胞によるフィブロネクチン産生への影響を検討したところ、10^<-8>U/mlでは影響を与えなかったが、10^<-7>U/mlと10^<-6>U/mlの濃度では、TGFβにより増大したフィブロネクチン産生を抑制した。一方、retinoic acidはTGFβによって増大された網膜色素上皮細胞によるフィブロネクチン産生は抑制しなかった。したがって、retinoic acidのこの2種類の細胞への作用は異なり、retinoic acidは網膜グリア細胞によるフィブロネクチン産生のみを抑制することが判明した。増殖性硝子体網膜症の発症には網膜グリア細胞も大きな関与が推定されており、retinoic acidがこの病態の発症を抑制する可能性が示唆された。
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