研究概要 |
眼筋手術では3〜4直筋を一度に眼球から切り離すことによって前毛様動脉に循障害が生じ,虹彩実質の萎縮.瞳孔の変化といった虹彩に虚血性の病変が発生することが報告されている。今回,うさぎを用いて.一眼の上直筋と下直筋の2つの筋を同時に眼球から切離し.手術後1週に血管樹脂鋳型標本を作成し,上強膜,外眼筋内虹彩,および毛様体筋における長後毛様動脉と前毛様動脉の吻合や側副血管の経時点変化を未処置のコントロール眼のそれと比較した。その結果,上,下直筋の血行支配領域に相当すると思われる虹彩の表層毛細血管網の脱落を認めた。すなわち耳側と鼻側の long posterior ciliary arteryで構成されるmajor iridic cireleは眼筋手術眼でも確認できたが,この眼では上直筋と下直筋を貫通する muscle arteryの消失と、これらの動脉系によって支配される上と下側の虹彩表層の毛細血管網の消失が認められた。一方,long posterior ciliary artery から派生する放射状に規則正しく配列した虹彩後面の毛細血管網は障害されずに虹彩の全周に認められた。
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