角膜輪部および、涙嚢に生じたsquameus cell papilloma(特に涙嚢の場合にはinverted type)の各症例において、まずヘマトキシリン-エオジン染色で、koilocytosisをともなう乳頭状の増殖パターンを認め、後者では、severe dysplasiaを呈していた。次に免疫組織学的に、DAKO社製(米国)抗ウシパピローマウイルス抗体にいずれも陽性所見を特に腫瘍細胞の細胞質において強く認めた。このことから、これらの異型を呈する眼表面及び涙道の乳頭腫において、パピローマウイルス蛋白が証明された。更にDAKO社製(米国)fluorescein-labelled in situ hybridization probeを用いてin situ hybridizationを行ったところ、螢光顕微鏡で陽性所見を呈した。このことから、これらの腫瘍において、パピローマウイルスDNAの存在を証明することができた。 以上の研究を更に進めることによって、眼科領域の乳頭腫、特に悪性化しやすい、乳頭腫を早期に発見し、経過を観察することが可能となりうる。
|