研究概要 |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は食道、子宮頚部、咽頭の乳頭腫や扁平上皮癌の発生と密接に関与していることが知られている。本研究で我々は涙道2例、結膜15例の計17例の眼科領域における乳頭腫においてヘマトキシリン・エオジン染色で良性、異型性、悪性病変に分類し、Koilocytosisの有無、抗ウシパピローマウイルスによる免疫組織染色、HPVDNAプローベを用いたin situ hibridlzation,PCRと施行した。17例中9例が良性、1例が中等度異型、3例が高度異型、2例がCar cinoma in situ,2例が浸潤性扁平上皮癌であった。 免疫染色では17例中8例が陽性所見を呈し、それらのうち7例はヘマトキシリン・エオジン染色でKoilocytosisを認めた。免疫染色で陽性所見を示した8例のうち5例がin situ hybridyzationに陽性であった。(1例はwide spectrum probe、2例はtype 6、2例がtype16、18の各1例)またPolymerase chain reaction(PCR)では4例でtype6のHPVDNAのE6領域が増幅された。眼科領域の乳頭腫の一部では、その発生にヒトパピローマウイルスが関与している可能性が示唆された。ウイルス感染の機会としては、産道感染、手指による感染、性交渉による感染が疑われ、その発現には紫外線や、喫煙が関与するという報告がある。
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