研究概要 |
目的:眼に新生血管が発生する、角膜新生血管、血管新生緑内障、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症などの眼疾患は、視力喪失へと進展してゆく難治な眼疾患である。現在、有効な治療としてレーザー光凝固療法が行われているが、眼組織を破壊するため、治療が成功しても、時には、高度な視機能障害を残す。このため、視機能を保持したまま治療が出来る有効な新しい薬剤の出現が待たれている。 実験方法:前眼部虚血後の角膜および虹彩新生血管発生動物モデルを用い、インターフェロンβ(3MU/kg/日)を、毎日1回、筋肉内注射を行い、その効果を見た。 結果:虹彩および角膜新生血管の量は、17日目にはインターフェロン投与群では有意に発生量が少なかった。虹彩実質には再疎通した拡張した血管が非投与群と同程度に観察された。BrdU免疫染色の標本では、投与群は非投与群に比べて虹彩ではBrdU陽性細胞数は減少していたが、角膜では両群間に差を認めなかった。 結論:今回の実験より、インターフェロンは新生血管の発生を抑制する作用がある。しかし、既存の血管の拡張による側副路の形成や再疎通血管の形成を阻止しなかった。内皮細胞の増殖能を示すBrdU陽性細胞数にはインターフェロンにより減少していたが、側副路形成や再疎通血管の形成に必要な内皮細胞の増殖には影響を与えなかった。インターフェロンは角膜新生血管よりも虹彩新生血管の発生を抑制する作用が強いことが分かった。インターフェロン(フェロン^<(〔CP○(/)R〔)>,東レK.K.)は、眼組織に新生血管を生じる眼疾患には臨床応用が可能ではないかと思われる。
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