研究課題/領域番号 |
06671785
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
疋田 直文 久留米大学, 医学部, 講師 (80173152)
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研究分担者 |
中島 俊輔 久留米大学, 医学部, 助手 (90258450)
池田 英子 久留米大学, 医学部, 助手 (70222875)
堤 清史 久留米大学, 医学部, 助手 (40227442)
江藤 耕太郎 久留米大学, 医学部, 講師 (70203635)
望月 学 久留米大学, 医学部, 教授 (10010464)
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キーワード | ラット / 角膜移植 / FK506 / 点眼薬 |
研究概要 |
目的:Immunophilin Iigandに属する免疫抑制剤であるFK506の点眼薬を用いて、ラットにおける同種角膜移植片拒絶反応抑制効果について検討を行った。 方法:ドナーとしてフィシャーラット、レシピエントとしてルイスラットを用いた同種全層角膜移植術を行い、0.3%、0.05%、0.01%FK506点眼薬の効果を移植片の術後臨床所見、角膜移植片生存率、免疫組織病理学的所見について検討した。 結果:0.3%FK506点眼治療群は、術後15日目の臨床所見で、対象群に比較して有意に(p<0.006)角膜移植片拒絶反応を抑制し、移植片生存率は術語13日で対象群に比較して有意に(P<0.009)移植片の生存率が高かった。この拒絶反応抑制効果は、FK506の用量依存的に認められた。術後14日での病理所見では対象群の移植片は、著明に肥厚し、角膜実質には炎症細胞浸潤と血管新生が認められたが、FK506点眼治療群では、角膜移植片は、正常の厚さで、炎症細胞や新生血管の浸潤は殆ど認められなかった。免疫染色の結果では、対象群では、角膜固有細胞やリンパ系細胞にMHCクラス1,クラス11抗原および細胞接着分子(ICAN-1 ,LFA-1)の発現が強く認められたが、0.3%FK506点眼治療群では、これらの発現が抑制されていた。 また、全層角膜移植術を行った眼に0.3%FK506点眼を行ったところ全血中には点眼後60分で平均4.8ng/ml、180分で1.5ng/ml、前房内では点眼後60分で13.7ng/ml、180分で2.9ng/mlの濃度のFK506が確認された。以上よりFK506点眼薬はラットを用いた同種角膜移植片拒絶反応の抑制に極めて有効で、点眼療法は全身的な薬物の副作用を軽減するうえで有用と考えられ、ヒト角膜移植への応用の可能性が示唆された。
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