研究概要 |
【目的】 神経芽腫細胞に対し、トポイソメラーゼI(トポI)阻害剤であるCPT-11とトポテカンの抗腫瘍効果を実験的に比較検討する。またトポI阻害剤の殺細胞効果と細胞内トポI含量の関係について調べる。 【対象と方法】 神経芽腫細胞株(IMR-32,GOTO,TGW,SK-N-AS,SK-N-BE,SK-N-SH,SK-N-DZ,NB-16)を用いた。トポI阻害剤としてCPT-11(実験にはその活性型であるSN-38を用いた)とトポテカンを用いた。制癌剤感受性試験としてMTT assayを用いた。制癌剤の濃度は、2×10^0〜1×10^3nMとした。トポイソメラーゼ含量の測定方法としてflowcytometryによる間接法によった。 【結果】 1)神経芽腫細胞のSN-38に対する感受性はIMR-32,SK-N-SH,NB-16に対しては感受性がみられた。GOTO,SK-N-DZはやや抵抗性であった。TGW,SK-N-AS,SK-N-BEはその中間であった。 2)神経芽腫細胞のトポテカンに対する感受性は、全ての細胞でIC_<50>は1×10^3nM以下であった。 3)SN-38とトポテカンの神経芽腫に対するIC_<50>は相関がみられたが、トポテカンの方がIC_<50>は低値であった。 4)トポI含量とSN-38,トポテカンの抗腫瘍効果は、TGW,SK-N-DZを除き相関がみられた。 【まとめ】神経芽腫細胞に対し、SN-38とトポテカンはほぼ同様の殺細胞効果を示した。トポI含量と抗腫瘍効果との関連は明らかでなかった。
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