研究概要 |
1.神経芽腫細胞株の制癌剤感受性試験:adriamycin (ADR), CPT-11 (SN-38)、etoposid (VP-16)の神経芽腫細胞株に対する制癌剤感受性を調べた。ADRにのみ有効であったのはSK-N-DZであり、ADRとSN-38に有効であったのはGOTO, TGWであった。ADR, SN-38, VP-16に有効であったのはSK-N-AS, SK-N-BE, SK-N-SH, IMR-32であった。 2. CPT-11に対する制癌剤感受性: SN-38に対する制癌剤感受性は10-100μg/mlの濃度では7株中6株で有効であった。1μg/mlの濃度では7株中3株で有効であった。 3. P糖蛋白染色:4/7株でP糖蛋白染色は陽性であった。3/7株では(±)であった。制癌剤感受性とP糖蛋白の発現とは関連がなかった。 4. GST-π染色:すべての細胞がGST-π染色で陽性であった。制癌剤感受性とGST-πの発現とは関連がなかった。 5.トポイソメラーゼI含量と制癌剤感受性:トポイソメラーゼI阻害剤であるCPT-11のIC50とFCM測定によるトポイソメラーゼ含量とは関連がみられなかった。 6. CPT-11の細胞周期に与える影響とトポイソメラーゼI含量の変化: CPT-11接触後神経芽腫細胞はDNAヒストグラム上G2+M期への集積が見られたが、トポイソメラーゼI含量は特に変化がなかった。 7. ADRの細胞周期に与える影響とトポイソメラーゼI含量の変化: ADR接触後神経芽腫細胞はDNAヒストグラム上G2+M期への集積が見られたが、トポイソメラーゼI含量は特に変化がなかった。 まとめ:トポイソメラーゼI阻害剤であるCPT-11は神経芽腫に対し殺細胞効果があった。この効果と、細胞内トポイソメラーゼI含量とは関連がなかった。
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