研究概要 |
マウス神経芽腫血行性転移モデルを用いて、骨髄・骨転移巣を組織学的に検討した。 【予備実験】マウス神経芽腫C-1300 1×10^5コを生後6週令の雄A/Jマウスの尾静脈より移植して血行性転移モデルを作成した。進行した骨転移巣を得るために移植後早期の肝を中心とする放射線療法による延命を選択し、腫瘍細胞移植後2日目・3日目・4日目に6Gy,また移植後3日目に2Gy・4Gy・6Gy・8Gy・10Gyを照射して、移植後3週目に肝・下肢骨を組織学的に検討した結果、移植後3日目の8Gy照射が以下の実験に適していた。 【実験方法】マウス神経芽腫C-1300 1×10^5コを生後6週令の雄A/Jマウスの尾静脈より移植、移植後3日目の肝を中心とする8Gy照射を併用し、移植後5〜20日目に5日毎に、更に移植後3〜5週目に下肢骨を摘出して、膝関節を中心とするH-E染色標本を組織学的に検討した。また同時期のX線撮影写真を合わせて検討した。 【実験結果】移植後5日目、10日目の標本では転移巣を見つけえなかったが、15日目以後の標本で転移巣を認めた。移植後15日目では骨髄腔内に限局する小さな結節性転移が多く、5週目になるとどの転移巣も骨髄腔内を広範にひろがるびまん性転移であった。また移植後15日目では転移が骨髄腔内にとどまり、骨転移を認めないが、移植後3週目から5週目では骨皮質浸潤が多くみられた。長幹骨では、類洞から骨髄実質内へ進入して転移巣を確立した少数の腫瘍細胞が、腫瘍の増殖により海綿骨を破壊しつつ、骨髄腔内に限局する小結節からしだいに大きな結節を形成し、更に骨髄腔内をびまん性にひろがる転移巣へと進行し、主に骨幹端から直接骨皮質を浸潤・破壊して骨転移を形成する過程が明らかにされた。骨転移形成時期のX線写真では、臨床的によく見られるような骨幹端の病的骨折を認めた。
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