マウス神経芽腫血行性転移モデルを用いて神経芽腫骨髄・骨転移の組織学的検討を行った。マウス神経芽腫C-1300 1x10^5/0.5mlを6週齢雄A/Jマウス尾静脈より静注し、移植後5日より35日まで継時的に下肢骨を摘出し組織学的検索を行った。移植後20日には、さらに上肢骨、腸骨、椎骨における骨髄・骨転移の組織学的検索も行った。下肢骨における骨髄転移は骨幹端部に最も多く認められ、骨端部、骨幹部は少なかった。継時的な下肢骨の組織学的検索により、血行性に骨髄に達した腫瘍細胞は骨髄類洞の内皮細胞に付着して腫瘍血栓を形成し、骨髄実質へ浸潤し、結節性の骨髄転移を形成することがわかった。結節性骨髄転移は海綿状骨を破壊しつつ増殖し、髄腔を広範に占拠する瀰漫性転移となった。結節性骨髄転移から瀰漫性骨髄転移が形成される過程で、腫瘍細胞は海綿状骨及び骨皮質へ浸潤し骨転移が形成された。このような骨髄転移は散在性に出現し、移植後20日で検索した種々の骨への転移も全検索骨の21%(15/70)に認められたのみであった。腫瘍細胞はさらに骨皮質を融解、破壊して髄腔外へ進展し、骨皮質を外側と内側より浸潤して融解、破壊し、最終的に下肢骨に病的骨折きたした。神経芽腫骨転移は骨髄転移の進行した病態であり、骨髄転移が種々の骨に散在性に出現する状態は、神経芽腫の治療効果を改善していく上で診断及び治療上考慮すべき病態と考えられる。
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