研究課題/領域番号 |
06671792
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
尾原 秀史 神戸大学, 医学部, 教授 (80030998)
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研究分担者 |
久野 克也 神戸大学, 医学部, 講師 (30135800)
中村 肇 神戸大学, 医学部, 教授 (40030978)
三川 勝也 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40229662)
前川 信博 神戸大学, 医学部, 助教授 (30127394)
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キーワード | 新生児遷延性肺高血圧症 / 敗血症 / 一酸化窒素 / エンドトキシン / 肺動脈 / サイトカイン / 横隔膜ヘルニア / 胎便吸引症候群 |
研究概要 |
I:実験的研究 ウサギ15例を3群(S,E,E-NO群)に分け気切後40%酵素で人工換気を開始した。E群及びE-NO群ではエンドトキシン(ET)100mg/kgを1時間かけて静注し約6時間人工換気を継続した。S群ではETのかわりに生食を投与した。E-NO群ではET投与開始直前から20ppmのNOを吸入させ屠殺時まで持続投与した。E群ではET投与直後より肺動脈圧は著明に上昇しその後徐々に基礎値に戻った。NO吸入はこの肺動脈圧上昇を抑えた。E群ではPaO2が時間とともに低下したがE-NO群ではその低下が軽度だった。末梢白血球数や血小板数はE群、E-NO群ともに激減し6時間後には2群間に差はなかった。肺内血管外水分量を示す肺の乾湿重量比はE群に対しNO吸入群で低値傾向だった。光顕組織像ではE群、NO投与群とも炎症細胞浸潤、肺胞壁の肥厚、肺出血が認められた。NO吸入はETによる早期の肺高血圧を軽減し酸素化改善の効果を示した。 II:臨床的研究 新生児9例にNO吸入療法を行なった。[方法]新生児遷延性肺高血圧(PPHN)で人口呼吸管理患者9例に対しNO吸入を行った。NO吸入プロトコールは20ppmを4時間次いで6ppmを20時間吸入させた。[結果]4例で吸入開始早期より酸素化の著名な改善を認めた。エコー上肺高血圧の改善が認められた。横隔膜ヘルニア合併症例4例中2症例でExtracorporeal membrane oxygenationの導入を避けることができなかった。[結語]PPHNでは著名なNO吸入の効果が得られる症例があり臨床での応用が期待される。しかし新生児におけるNO吸入の副作用について十分な知見は得られておらず今後の検討が待たれる。
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