研究概要 |
AFP産生肝芽腫のヌードマウス継代腫瘍の生物学的特性について研究を行った。 (1)生化学的特性としては、血清AFP値が98300ng/mlと高値で、ConA非吸着率は8%あった。このことより本継代腫瘍は原腫瘍のAFP産生という特性をよく反映していることが明らかとなった。癌遺伝子では、N-myc,C-myc,K-ras,H-ras,C-erbB2,bcl-2のいずれも増幅は認められなかった。染色体分析では、染色体数50にモードを認め、核型は50,XX,+der(lq7p)+2+8+20であった。ヌードマウス腫瘍のDNA ploidy pattern歯、CV値3.9%,DNA index 1.2でaneuploidyを示した。 (2)免疫組織染色については、抗AFP抗体を用いた酵素抗体法により、ほとんど全ての腫瘍細胞にAFPが証明された。α1-antitrypsin染色、keratin染色でも、大部分が陽性腫瘍細胞であった。また、EGF染色では陽性細胞が約1/3に認められた。近年、染色体7p上にEGFRが存在すると報告されているが、本継代腫瘍において7pが増加し、EGF染色が陽性であったことはこのことを裏付ける結果となった。
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