研究概要 |
今年度はAFP産生肝芽腫のヌードマウス継代腫瘍に分化誘導物質を投与して、AFPおよびアルブミン産生に対する影響をみる予定であったが、AFP産生肝芽腫の培養株化が成功していないため、継代腫瘍の初代培養では分化誘導物質の投与実験は不可能なことより、hepatocyto growth factor(HGF)を投与して、その効果をAFP産生および細胞増殖能の面から検討を行った。ヌードマウス継代腫瘍をエーテル麻酔下に摘出し、細胞を1x10^5/mlに調整後、HGF10ng/ml,20ng/mlを添加し、3日間培養後、培養液中のAFP濃度の測定とMTT assayを行った。培養液中のAFP濃度の増加率は、対照群47.5%,HGF10ng/ml投与群31.7%,HGF20ng/ml投与群30.9%であり、HGFによるAFP産生の抑制効果が認められた。MTT assayでは、細胞増殖抑制率はHGF10ng/ml投与群21.7%,HGF20ng/ml投与群73.0%で、HGF濃度が高いほど抑制効果が増強された。このことより、当科で継代されている高分化型肝芽腫に対して、HGFはAFP産生能および細胞増殖能について抑制効果を示すことが明らかとなった。
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