研究概要 |
生体肝移植において成人肝を小児に移植することによる移植肝の加齢による変化を知るための手段として,ラットによる肝移植実験モデルの作成を目的として以下の検討を行った。 1.graft肝作成法の検討 移植graftのモデルとしてKamataらのcuff techniqueとSun Leeらの門脈吻合法の優劣を比較するために,まずcuff techniqueによるgeaff作成を試みた。Wister系成熟ラット(9〜12週齢),Wister系幼若ラット(5週齢)を用いて顕微鏡下にドナー肝の採取を行いcuffの作成を行った。cuffの作成には胆管では4FG,門脈では6FG,下大静脈では8FGのcatheterを用いた。graft作成は顕微鏡手術の手技の習熟にと伴い,可能となった。 2.同所性移植における血管再建法の検討 ラット肝移植の血管及び胆管の再建に関してはSun Lee法はより生理的ではあるが,その手技は高度のものが要求されるため,今後幼若ラットへの移植を行っていくにはKamada法がより適していることが確認された。また,成熟ラット間の移植においても,術後の血栓形成が生存を妨げる問題であり,cuff作成に用いるcatheterの素材の改善が必要であると考えられた。現在までの検討で,成熟ラット間の移植に関しては24時間生存が得られる段階に達したが,幼若ラト-幼若ラット間,成熟ラット-幼若ラット間の移植については24時間生存を得るに至っておらず,本来の目的である長期生存ラットでの移植肝のagingを検討するに至っていない。
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