研究課題/領域番号 |
06671801
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊池 裕子 北海道大学, 歯学部, 助手 (30001944)
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研究分担者 |
柴田 健一郎 北海道大学, 歯学部, 助手 (50145265)
渡邊 継男 北海道大学, 歯学部, 教授 (10064362)
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キーワード | 口腔マイコプラズマ / コラゲナーゼ / 線維芽細胞 / IL-6 |
研究概要 |
ヒト正常歯肉線維芽細胞(Gin-1)に、Mycoplasma salivarium(Ms)あるいはMycoplasma orale(Mo)の生細胞、Ms細胞膜あるいはPorphyromonas gingivalis(Pg)破砕菌体を作用させ、経時時にプレート上のGin-1細胞の形態を観察した。その結果、これらの刺激によりGin-1細胞が丸くなることがわかった。Gin-1細胞の形態変化はMo生細胞並びにMs細胞膜刺激で強く、特に、Ms細胞膜の96時間刺激では、Gin-1細胞がプレートから剥がれていることがわかった。この現象が培養上清にコラゲナーゼ活性が放出されたために起こったのではないかと考え、培養上清中のコラゲナーゼ活性を調べた。しかしながら、培養上清中にはコラゲナーゼ活性は検出されなかった。そこで、培養上清中に何らかのサイトカインが産生されいているのではないかと考え、炎症性サイトカインであるIL-1β、IL-6およびTNFαを酵素抗体方で調べた。その結果、すべての刺激により、培養上清中から高濃度のIL-6が検出された。Pg破砕菌体刺激では、TNFα並びにIL-1βも検出されたが、M刺激では、IL-1βならびにTNFαの産生量は非常に少ないことがわかった。 IL-6はB細胞に抗体産生を促すサイトカインであるが、関節炎などの炎症との関連性が注目されている。歯学領域では、歯周疾患患者の病巣中に検出され、病態との疫学的関係が証明されている。このような理由から、歯肉線維芽細胞をマイコプラズマ(M)で刺激すると、Pg刺激と同程度に高濃度のIL-6の放出が誘導されるということはMが歯周組織の炎症(特に、歯周疾患)に深く係わっていることを示唆している。
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