研究概要 |
アジアの集団は歯の形態から分析するとスンダ型歯列と中国型歯列に分けられると言われている。そこで、スンダ型歯列に属するフィリピン人と中国型歯列に属する日本人とスンダ型歯列に属するが中国型歯列の影響を受けているといわれる台湾原住民などの口蓋形態について、どのような位置ずけが出来るかを明らかにする。すなわち、モアレトポグラフィー法をもちいて、口蓋の形態のSize,Shapeについて三次元的に解析するとどのような形態に3集団の特徴的差異がみられるかを明らかにし,アジア集団における3集団の人類学的位置ずけを三次元的に明らかにすることを目的とした。 本年度は、研究対象として日本人の被験者を集め、口蓋の石膏模型を作製し、日本人、フィリピン人、台湾人の口蓋のモアレ写真を撮影し、拡大しトレースして現在解析中であり、研究目的、研究計画・方法など計画したとうり遂行中である。まだ解析中であるが、フィリピン人の口蓋を見ると、歯列弓形態は円形が少なく、放物線型が多く、日本人では殆ど見られない方形が見られた。口蓋最深部の外形は、縦楕円形が最も多く、正中線上、第一大臼歯部に位置するものが多かった。そして、口蓋の正中矢状断面の形態は、男性では前方が浅く、後方が深い形態を呈し、女性では前、後方の高さに差がない形を呈していた。前頭断面では男性の方が強い傾斜を呈していた。また口蓋の最深部の位置も日本人より少し後方にあるように思えた。口蓋形態をモンゴロイド集団間で比較した結果ではフィリピン人は幅が狭く、深い口蓋形態を呈しているように思えた。次年度においても、さらに、日本人および台湾原住民の口蓋形態の解析を継続し、統計的に検討してゆく積もりである。。
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