研究概要 |
当初予定していた頭蓋骨骨膜の骨芽細胞のbeta-アクチンmRNAの増減分布について観察し、結果が得られた。しかしながら、光顕レベルで骨芽細胞の成熟期休止期の判別は困難なため、線維芽細胞その他の細胞との比較を中心に観察を行った。 cDNA-beta-actinよりradio active probe用のRNAプローブを作成し、その後ラット頭蓋骨組織のパラフィン標本を薄切し、脱パラ,pre-hybridization,hybridization,Washing,autoradiography,現像を行った。 1)Control像:頭蓋骨骨膜細胞層において骨芽細胞のみが強いシグナルを示しており、その他の前骨芽細胞、線維芽細胞はほとんどシグナルを示していなかった。これらのことから骨芽細胞はbeta-actinを多量に生産していることが考えられた。 2)発生学的検討:胎生期、生後8週例、成熟期とも頭蓋骨骨芽細胞層に強いシグナルが認められた。 3)PGE2投与による変化:PGE2投与後では骨芽細胞層より骨膜細胞層の線維芽細胞(前骨芽細胞を含む)に強いシグナルが観察された。電顕的検索によりこの部位の線維芽細胞は、細胞外形を変化し、ストレスファイバーを形成していたことから、ストレスファイバー形成はbeta-actin mRNA増加により新たにactin産生された結果により生じたものと考えられる。 次年度予定していたPGE2投与実験群についても、既に本年度実験を開始している。また、結果の安定化を計るため、RI方法のみならず、non-RI法(non-radio active probeを作成し、抗体法(digoxigenin標識による)による観察も行っている。
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