1. In situ hybridization法によるアクチン線維形成について 頭蓋骨骨膜細胞層において、骨芽細胞のみが強いbata-actin mRNAのシグナルが観察され、前骨芽細胞および線維芽細胞にはあまり観察されなかった。これらの結果は骨芽細胞はactin-filamentを新たに重合するが、前骨芽細胞を含む線維芽細胞はあまりactin-filamentを重合形成しないことを示唆し、骨芽細胞は骨表面に付着する必要性から、beta-actinを生成したstress fiberを維持すると考えられた。 2.アクチン生成と発生学的検討 beta-actin mRNAのシグナルは老齢期の骨芽細胞においてやや減少していたが、それ以外の各発生段階では差異は認められなかった。これらの結果から、骨芽細胞は発生段階中老齢期を除いて常にactin-filamentの重合形成を行っていることが示された。 3.PGE_2投与後の細胞の形態学的変化とアクチン生成について 対照群においては、骨膜細胞層の骨芽細胞のみが強いbeta-actin mRNAのシグナルを示したのに対し、PGE_2投与後8時間の骨膜では、骨芽細胞より前骨芽細胞を含む線維芽細胞に強いシグナルが認められた。この条件下では線維芽細胞は細胞外形を変化させ、actin-filamentが多くなり、stress fiberを長軸に沿って形成するが、この実験結果から線維芽細胞のこれらstress fiberの形成はbeta-actin mRNAの増加により新たに産生されたactinにより生じたものと考えられた。
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