『咀嚼筋の筋線維型分化期の膠原線維の動態についての基礎的研究』というテーマで平成6年度から7年度のかけての2年間わたりこの研究を遂行し以下の結果を得た。 1)出生直後から5週齢までのラットの咀嚼筋の凍結連続切片を作成し、Myosin-ATPase SDH、α-GPDHの反応レベルを調べ筋線維型の分化時期を調べ、特に、SDH、α-GPDHの反応レベルが12週から13週に大きく変化することがわかった(平成6年度)。 2)筋周膜、筋内膜を構成するコラーゲンおよびラミニン、フィブロネクチン、テイネシンの各細胞外基質の解析によりこの時期にI型コラーゲンとラミニンが強い反応を示した(平成6、7年度)。 3)またこの時期に、走査型電子顕微鏡を用いた3次元的レベル解析により筋周膜、筋内膜の形態変化が大きいことを示した(平成7年度)。 4)さらに、透過型電子顕微鏡を用いた衛星細胞の観察ではミトコンドリア、粗面小胞体など細胞内小器官がこの時期に発達、増加することが明らかとなった(平成7年度)。 このことから筋周膜、筋内膜の細胞外基質および、衛星細胞が筋線維の発達に関与する因子が存在することがあきらかとなり、これらの因子は離乳期に酸化酵素系の筋線維の発達、分化に関与することが示唆された。
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