1.鶏胚あるいはウサギ軟骨細胞を軟寒天中で培養し、FGFを添加することによりコロニー形成を誘導し、そのコロニーにおいてどのような細胞外基質が蓄積しているかを免疫組織学的に検索した。軟骨細胞周囲にはフィブロネクチン、II型コラーゲンおよびアグリカンが分布していたが、X型コラーゲンおよびビトロネクチンの蓄積は観察されなかった。 2.抗フィブロネクチン抗体、抗アグリカン抗体、抗X型コラーゲン抗体および抗ビトロネクチン抗体は、FGFにより誘導されるコロニー形成を阻害しなかった。 3.α5β1とフィブロネクチンあるいはαvβ3とビトロネクチンとの結合を阻害するGRGDSペプチドを軟骨細胞軟寒天培養系に添加するとp、FGFにより誘導されるコロニー形成が阻害された。一方、不活性のGRGESペプチドはコロニー形成を阻害しなかった。 4.α5β1とフィブロネクチンとの結合を強める抗体U1α(Dev.Biol.in press)は、FGFにより誘導される鶏胚軟骨細胞のコロニー形成を促進した。 上記の結果は軟骨細胞の増殖にα5β1インテグリンを介する細胞外基質のシグナルが必要であることを示唆するものである。どの細胞外基質が細胞増殖に関与しているかは未定である。現在、α5β1とフィブロネクチンとの結合を阻害する抗体を用いて、軟骨細胞の増殖においてα5β1とフィブロネクチンとの相互作用がどのように関与しているかを詳細に検討している。
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