研究概要 |
マウス骨芽細胞株(MC3T3-E1)、ヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞様培養細胞株(HCS-2/8)等を用いてインスリン様増殖因子(IGF)遺伝子発現でのエクソン使い分けに基づいたプロモータ変動に対する定量的解析法を確立し、その方法を正常軟骨細胞、骨肉腫、軟骨肉腫に適用して比較検討したところ以下のような結果が得られ、臨床検査的応用の可能性も多いにあるものと思われる。それらの結果を学会で発表するとともに現在論文投稿準備中である。 1)IGF-I、IGF-IIの各遺伝子発現での定量的解析のためのRNase Protection Assay法用のすべての遺伝子プローブ作製は完了した。 2)マウス由来MC3T3-E1からのIGF-II遺伝子の発現はP-1を除く3個のプロモータからであったが、ヒト正常軟骨細胞からはHCS-2/8細胞と同様に4個のプロモータから発現しているという新規の事実を見い出した。HCS-2/8細胞と比較するとヒト骨肉腫由来SaOS細胞からの発現はごくわずかであったが、4個のプロモータから発現していた。(第13回日本骨代謝学会抄録号(1995)13(2),307)。 2)HCS-2/8細胞からのIGF-II遺伝子の全体的な発現は、ヒト正常軟骨細胞からの発現よりも約5倍近くであった。その各プロモータからの内訳は、P-2では正常軟骨細胞の方が多かったが、P-1,P-3,P-4では軟骨肉腫由来のHCS-2/8細胞の方が数倍から10倍多かった。(第68回日本生化学会大会発表抄録号(1995)67(7),670)。 3)軟骨細胞の増殖分化に関与するアスコルビン酸のIGF-II遺伝子発現に対する効果は、P-1,P-2,P-3,P-4のすべてのプロモータで1.2倍から1.5倍程度の発現増加を示していて、全体的には約1.8倍であった。(第18回日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集(1995)p446)。
|