ラット鼓索神経を切断すると味蕾の消失後、やがて再生神経と味蕾が現れる。SD系ラットの一側の鼓索一舌神経切断後、再生鼓索神経Na応答の変化を調べた。Na応答はアミロライドで抑制されるアミロライド感受性Na応答と抑制されないアミロライド非感受性Na応答に分けられる。再生神経Na応答は神経切断後28日目に現れた。神経切断後28-35日目のアミロライド感受性Na応答はまだ比較的小さいが、36-45日目には急に大きくなった。しかし、アミロライド非感受性Na応答の大きさをアミロライドで抑制されないKH4Cl応答の相対値で表すとアミロライド非感受性Na応答は28-45日まで変化しなかった。これらの結果から、アミロライド感受性Na受容機構は、再生神経-再生味蕾の成熟過程で急速に発達するがアミロライド非感受性Na受容はNH4CI受容とともに徐々に発達すると思われる。味細胞のタイトジャンクションを塞ぐ2.5mM LaCl3再生神経のアミロライド非感受性Na応答を変えないことからアミロライド非感受性Na応答にタイトジャンクションは関与しないことが推察される。一側の鼓索一舌神経切断後28日前後で、対側の鼓索神経Na応答は正常神経の応答と変わらなかった。 以上の結果から、再生鼓索神経-味蕾の成熟過程でのアミロライド感受性Na応答とアミロライド非感受性Na応答の発達の違いが明かとなった。
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