研究概要 |
平成6年度は,まずアセチルコリンによる水分泌と蛍光色素分泌との相関とその分泌機構を明らかにし さらに細胞内カルシウムイオンの変化との関係を調べた。 1)唾液腺からの分離腺房細胞からの蛍光色素カルセイン分泌に対する自律神経作動薬のうちカルバコール,ノルアドレナリン及びα作動薬が顕著な効果を示した。この効果は,レセプターレベルでの拮抗薬の抑制効果と一致していた。 2)副交感神経作動薬カルバコールによる蛍光色素分泌に対し,単独では効果を示さないβ交感神経作動薬であるイソプロテレノールは増強効果を示した。 3)蛍光色素の分泌増強効果を示す自律神経作動薬が,細胞内カルシウムイオン濃度を増加させ,その濃度依存性は両者で良く対応していた。 4)水分泌時の腺房細胞の形態変化をコンフォーカルレーザー顕微鏡で明らかにしつつある。水分泌刺激直後に腺房細胞は一過的に収縮し,この収縮と分泌との関連を調べている。 5)蛍光色素分泌の異なりアミラーゼ分泌は,β交感神経作動薬であるイソプロテレノールで増強された。 6)パッチクランプで調べたところ,腺房細胞のイオンチャンネルは副交感神経作動薬カルバコールで顕著に開放され,現在分泌との関連について調べている。 7)還流唾液腺からの蛍光色素の分泌は分離腺房細胞からの分泌と異なり水分泌刺激直後に一過的であった。
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