研究概要 |
選択的非競合的 NMDA 受容体拮抗薬である MK-801 は用量依存性にマウスの運動量を亢進させた。NMDA の腹腔内投与はこの MK-801 による運動亢進作用を部分的にではあるが用量依存性に抑制した。対照的に非 NMDA受容体作動薬であるカイニン酸は MK-801 による運動亢進作用に影響を与えなかった。ドパミン受容体拮抗薬であるハロペリドールもMK-801 による運動亢進作用を用量依存性に強く抑制した。他の非競合的 NMDA 受容体拮抗薬であるフェンサイクリジンやケタミンでもほぼ同様の結果が得られた。以上により、非競合的 NMDA 受容体拮抗薬である MK-801,フェンサイクリジン及びケタミンによる運動亢進作用の少なくとも一部は、NMDA受容体を介することが示唆された。しかし、同様にドパミン神経を介する機序も示唆された。また、NMDA 受容体に選択的である MK-801と、シグマ受容体やドパミン取り込み部位にも作用するフェンサイクリジンやケタミンとほぼ同様の結果を示した。従って、今回の結果からはNMDA 受容体拮抗薬による運動亢進作用の詳細な機序を明らかにすることは出来なかった。
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