研究概要 |
間質細胞株PA6とマウス骨髄細胞を10^<-8>M副甲状腺ホルモンの存在下で7日間共培養したところ、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ陽性で単核の細胞が多数出現したが、多核の破骨細胞はほとんど出現せず、ほとんどの細胞は前破骨細胞の段階に留まっていると考えられた。これらの細胞のほとんどはMac-2陽性で、約50%がMac-1陽性であったが、F4/80,MOMA-2,およびBM8は陰性であった。この結果は我々がin vivoの研究によって得られたものと一致し、前破骨細胞がマクロファージから分化するという考えを否定すると考えられる。 この共培養系ではマクロファージも多数出現するために、前破骨細胞を精製するためには、まずPA6細胞とマクロファージを除去する必要があった。そこで、コラゲナーゼ処理によって細胞を分散し、プラスティックデイシュへの接着性による分離を試みたが、前破骨細胞も壁着性であるために不可能であった。そこで、コラゲナーゼで分散した細胞をFITCでラベルしたMac-2抗体とphycoerythrinでラベルしたF4/80抗体で染色し、FACSを用いてMac-2陽性、F4/80陰性の分画の細胞を分離した。得られた細胞のほとんどは酒石酸耐性酸性フォスファターゼ陽性で、前破骨細胞をほぼ純粋に精製出来たと考えられる。Mac-2陽性、F4/80陰性の分画の細胞を100個ずつPA6細胞と共培養したところ、24時間後には約半数の細胞が融合して多核になり、破骨細胞が形成された。この際、副甲状腺ホルモンや活性型ビタミンD_3等のホルモン類は必要ではなく、むしろ阻害的であった。
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