本研究の目的は、(1)前年度の研究予算で作成したエックス線規格撮影装置の効用を確立すること、(2)通常に撮影された口内レントゲン写真を、コンピュータグラフィツクス技術を用いて規格撮影に近い効果を得るように補正して、歯周炎罹患歯が一定期間後にどの程度進行するかを客観的に測定できるシステムを作ることである。同一部位2枚のレントゲン写真から、歯周炎による骨吸収度の差や病変の進行速度を判定できれば、歯の予後の予測に役立てることができる。また、規格化されていない偏心撮影されたレントゲン写真であっても、正放線撮影写真となるように画像処理を施して補正することで、同一部位の写真の比較が可能となる。これは、患者への説明、患者の動機づけ、治療計画の立案の上で有効な手段となる。 本年度は、まず、すでにわれわれが開発したエックス線規格撮影装置の改善を行い、高い再現性を確認した。また、実際の患者では、歯周治療から6週間後に骨の変化がディジタルサブトラクション法により認められることを確認した。 さらに、乾燥頭蓋骨における任意の点の座標を3次元ディジタイザにて測定し、エックス線写真をフィルムスキャナーによってコンピュータに取り込むこむことによって、レントゲンの線源、被写体とフイルムの位置関係を行列式を用いることによって逆算した。この結果、この方法は極めて容易に非規格撮影レントゲン写真の骨レベルを算定できることが確認された。
|