研究概要 |
本年度では,IL-1によるヒト歯肉線維芽細胞のTNF-αに対する反応性の変化を,IL-1レセプター(IL-1R)のmRNA発現およびTNF-αレセプターサブタイプのmRNA発現様態に及ぼすIL-1βの影響の面から調べた。 ヒト歯肉線維芽細胞においてtype Iとtype IIのIL-1R mRNA発現をRT-PCR法によって検出し,その発現量はtype Iの方がはるかに多かった。したがって,ヒト歯肉線維芽細胞の表面の主なIL-1Rはtype Iであると考えられる。さらに,細胞のLPS,インターフェロン-γ,およびPGE_2の刺激を受けるとtype IとIIのIL-1R mRNAの発現量がともに増加することが明らかになった。 ヒト歯肉線維芽細胞はtype IとII双方のTNF-αレセプターのmRNAを発現し,その発現量はtype Iの方がずっと多かった。細胞をIL-1 βで刺激すると,type IレセプターのmRNA発現量は著明に抑制を受けるが,type IIレセプターのmRNA発現量はほとんど影響を受けなかった。これらの結果から,TNF-αに対する細胞の反応性(PGE_2産生促進)がIL-1 βによって亢進するという現象は単純にTNF-αレセプターの発現様態で説明できない。 IL-6は,歯肉線維芽細胞の細胞膜上レセプターに結合するだけでなく,可溶性レセプターと複合体を形成し,細胞膜上の糖蛋白であるgp130を介して結合することが明らかになった。そのgp130のmRNA発現はIL-1 βとTNF-α刺激により誘導された。したがって,歯肉線維芽細胞のIL-6に対する応答性は,IL-1 βとTNF-α存在下で培養することによって変化する可能性が高い。
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