研究概要 |
ヒト歯肉線維芽細胞をインターロイキン(IL)-1存在下で24時間培養すると腫瘍壊死因子(TNF-α)によるプロスタグラジン(PG)E_2産生促進作用が亢進することを明らかにした。また,IL-1によってTNF-αレセプターの数と親和性が低下していることも明らかにした。そこで,IL-1によるヒト歯肉線維芽細胞のTNF-αに対する反応性の変化を,IL-1レセプター(IL-1R)mRNA発現およびIL-1のTNF-αレセプターのサブタイプのmRNA発現様態への影響の面から調べた。 ヒト歯肉線維芽細胞においてタイプIとタイプIIのIL-lRmRNA発現をRT-PCR法によって検出した。また,タイプIIL-lRmRNAの発現量はタイプIIのものよりはるかに多かった。このことから,ヒト歯肉線維芽細胞の表面の主なIL-1RはタイプIであると考えられる。 ヒト歯肉線維芽細胞はタイプIとタイプII双方のTNF-αレセプターのmRNAを発現し,その発現量はタイプIの方がずっと多かった。 細胞をIL-1で刺激すると,タイプIレセプターのmRNA発現量は著名に抑制を受けるが,タイプIIレセプターのmRNA量はほとんど影響をうけなかった。 これらの結果から,TNF-αに対する細胞の親和性(PGE_2産生促進作用)がIL-1によって亢進するという現象は単純にTNF-αレセプターの発現様態で説明できない。
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