研究概要 |
1.被検者:X線診および各種の臨床検査を行い,5歯以上の歯の根管充填が不十分で,かつ根尖部にX線透過像を有する患者ないしは急性化を繰り返す患者(5〜10名)と,同じく根管充填が不十分でありながら全くそのような症状を示さない患者(5〜10名)を選びだした. 2.試料の採取:両グループの被検者から通法により,根管内侵出液および病変部組織(対象者のみ)を採取し,凍結保管した. 3.根管内侵出液のIL-1,6,8活性の測定:初診時から根管充填時までの各時期における根管内侵出液のIL-1,6,8活性を ELIZA法を解析した. 4.PCR法による根管内侵出液におけるIL-1,6,8遺伝子発現量の測定:2.で得た根管内侵出液から Total RNA Separator キットを用いて全細胞 RNA を抽出した.次に Cytokine MAPPingキットを用いて逆転写酵素による cDNA を合成した.最後に,IL-1,6,8に特異的なプライマーを用い,遺伝子増幅装置でIL-1,6,8に特異的な DNA 断片を増幅させた.この増幅した DNA を電気泳動し,その量を測定して,IL-1,6,8遺伝子の発現量を決定した. 5.病変部組織内IL-1,6,8産生細胞の同定:2.で得た試料の一部から凍結およびパラフィン切片を作成し,各インターロイキンに対する抗体を用いた免疫組織学的染色を行い,各成分の組織内局在を調べた.さらに^<-35S>標識した各IL-1,6,8の cDNAプローブを使用してin situ hybridzation を行い,各インターロイキンmRNA の発現細胞を最終的に同定した. 6.総括:以上の実験成績を総合的に解析して,難治性根尖性歯周炎における IL-1,6,8 各成分の活性の変動と遺伝子発現の状態を明らかにしようと試みつつある.しかし現時点では,2.で得た病変部組織組織の解析が終わっていないので,最終的な結論を出すには至っていない.
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