研究概要 |
試作した疲労破壊試験機により,3社のステンレススチール製根管治療用器具(リ-マ-,Kファイル,Hファイル)とチタン合金製の1種について,ISO規格に準じた曲げトルク,破断トルクと破断角度を測定した.さらに,破断状態の電顕による観察,ヌープ硬度の測定を行った.チタン合金製に関しては,EPMAによる組成分析を行った.その結果,チタン合金製の組成は,チタン50.6atom.%,49.5atom.%であり,ステンレススチール製に比較して,硬さ値は低く,曲げトルクと破断トルクも小さく,破断角度は一定の傾向を示さなかった.また,捩じ切り破断後に生じる逆ねじれの発生は少い事を歯内療法学会に報告した. 本研究の本来の目的は,根管治療用器具の疲労破壊に関する基礎的研究であったが,疲労破壊を起こしづらいと推測されたチタン合金製器具がアメリカで開発され本邦においても市販された事,および疲労試験は膨大な時間を必要とする事から研究が多少横道にそれたが,本来の目的の一部は達成し得たと考えている.今後も,この研究を継続して行きたい.
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