各種歯周ポケット抗菌療法薬の歯肉に対する為害作用を推測する目的でヒト歯肉由来の培養ケラチノサイトに対するこれらの薬物の細胞増殖抑制作用をニュートラルレッド・バイオアッセイ法で定量的に調べた。その結果、臨床適用濃度の薬物を同量、かつ同一時間作用させた場合、 1)ポケット内消毒・洗浄では5%ヒビテン≒アクリノール液>ヨードカルボル>歯科用ヨードグリセリン>希ヨードチンキ>ヨードチンキ>オキシドール≫ハイアミン液の4000倍希釈>イソジン液の20倍希釈の順で毒性が強く、アクリノール液の毒性はオキシドールの約12倍、ハイアミン液の約93倍、イソジン液の約150倍であった。 2)ポケット内注入用軟膏類ではその毒性はヒノボロン≫テトラ・コーチゾン>ペリオクリン歯科用軟膏≒テラ・コートリルの順であった。ペリオクリン歯科用軟膏の毒性は極めて低かったが、その主剤である塩酸ミノサイクリンそのものの毒性は他のテトラサイクリン系抗生物質の中で最も毒性の強くアクリノール液の約5倍であった。 3)歯周ポケット抗菌療法薬ではないが、関連薬物である含嗽・洗口剤の毒性も調べてみた。毒性はプラクリン>ネオステリングルーンの10倍希釈液>オラドール含嗽液の100倍希釈液≒リステリン≒2%含嗽用AZ細粒液の順であった。 これらの結果は歯肉に対して為害作用のより少ない局所適用歯周療法薬を選択する際に有用になるものと思われる。
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