研究概要 |
平成6年度の研究成果 1.市販3種のコンポジットレジン試片を(1H,1H,2H,2H-henicosafluorodedesy1)trimethoxysilane(以後10F2S-3Mと略す)1)小筆,2)濾紙,3)還流の3方法を用いて改質し,(1)吸水量,(2)紅茶,タバコ,オイルオレンジを用いる着色抵抗性試験(ΔE^*ab),および(3)接触角を検討した.その結果,(1)処理群の吸水量は非処理の対照群に比較して3週まで有意に低かった.(2)ΔE^*abは対照群に比較して処理群は明らかに小さかった.また処理群の紅茶およびタバコによる着色は,超音波洗浄3分でΔE^*abは0.5以下になり,色素の脱離性が極めて良好であることが示された.(3)処理群の接触角は全処理群ともテフロンと同等,あるいはそれ以上であり,着色後も超音波洗浄を施すとほぼベースラインの値に回復した. 2.通常用いられる3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPSと略す)にフッ化炭素鎖が1〜10までのフルオロカーボン鎖のシランカップリング剤を各種濃度で添加し,市販ガラス片を改質後コンポジットレジンを接着し引っ張り接着強さを測定した.フッ化炭素鎖が1および4のフルオロカーボン系シランカップリング剤を添加した群の引っ張り接着強さはMPS単独処理に比較して約2倍の値を示し,水中保存やサーマルストレスに対しても優れた耐久性を示した. ガラスおよびコンポジットレジン試片に対し還流により10F2S-3M処理を施し,in vitroにてS.mutans Ingbrit株を用い人工プラーク付着実験,および脱離実験を行なった結果,処理群のプラーク総付着量は対照群とは有意差がなかったが,弱い超音波洗浄で容易に脱離し,試片上の残存量は非処理群の約1/1,000であった. これらの研究成果は第72回IADR総会,第24回日本歯科理工学会および第101回日本歯科保存学会で報告した.
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