研究概要 |
義歯性口内炎の予防と治療に,義歯洗浄剤を使用した化学的デンチャー プラーク コントロールが用いられている。他方,口腔内の清掃がプラーク コントロールにおいて,義歯の洗浄と同様重要な役割を果たしている可能性も指摘されている。しかし義歯装着者の中には口腔内の清掃に介護者を必要とする場合もあり,より簡便なプラーク コントロール補助手段が必要である。その一つとして洗口液の利用が挙げられる。 本研究では組成の違う2種類の市販の洗口液に抗真菌活性を持つ塩酸ベルベリンを各種濃度で添加し,義歯性口内炎の起炎菌として重要な役割を果たしているカンジダ属に対する抗真菌活性,発育阻害希釈倍率,短時間接触による殺真菌効果の3点について検討を行った。 その結果,以下の知見を得た。 1.拡散法を用いた抗真菌活性の検討において,可溶化剤にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いた洗口液(以下A)では,カンジダアルビカンス,カンジダトロピカリス,カンジダグラブラタ3菌株全ウリル硫酸ナトリウムを用いた洗口液(以下B)ではそれぞれ250,63,125μg/mlで阻止円を形成した。 2.液体培地希釈法を用いた発育阻害希釈倍率の検討において,Aでは希釈倍率が低い場合により強く発育阻害効果を示し希釈倍率が高くなると急激にその効果が低下し,Bは希釈倍率が高い場合でも発育阻害効果を発揮し続けた。 3.短時間接触による殺真菌効果の検討において,殺真菌作用はAが強く,また,カンジダトロピカリス,カンジダアルビカンス,カンジダグラプラタの順に作用が強かった。
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