研究概要 |
1.各種処理歯質の耐酸性の硬さによる評価 1)各種歯質前処理剤による歯質のダメ-ジの評価 前処理剤として、40%リン酸水溶液(40%PA)、10%クエン酸/3%塩化第2鉄水溶液(10-3溶液)、7%フィチン酸水溶液(7%PYA)、3%フッ化第1錫水溶液(SnF_2溶液)および7%PYA処理後SnF_2溶液処理を行なう本プライマー処理を比較した。牛歯エナメル質および象牙質のヌープ硬さの初期値は固体差が認められたが、それに対する各処理歯の硬さの低下率で比較すると、概ね各処理剤の脱灰能の程度が評価できた。低下率でみると、やはり40%PA処理が大きく、次いで、7%PYA処理、10-3溶液処理の順であった。フッ化錫を併用させた本プライマー処理は、7%PYA処理のみと大差はなかった。SnF_2溶液処理のみを行なった場合が低下率は最も低かった。 2)再石灰化後の硬さの回復度の評価 再石灰化溶液に1カ月浸漬後の硬さの初期値に対する低下率は、やはり40%PA処理が最も大きく、再石灰化後も歯質のダメ-ジは十分には回復されなかった。一方、10-3溶液処理、本プライマー処理は大差なかった。 3)再石灰化後の耐酸性の評価 再石灰化後の処理歯質を0.05M,pH4.5の酢酸緩衝液に浸漬し2時間脱灰後の硬さの初期値に対する低下率は、ほぼ上述した順であった。 2.人工齲蝕試験による各処理歯質の齲蝕抑制効果の評価 平成7年度は、実際に牛歯に窩洞形成し、各処理後コンポジットレジンで修復した試料を使用して、人工齲蝕試験を行い、窩洞辺縁部の齲蝕抵抗層の厚さから、各処理剤の齲蝕抑制効果を比較したいと考えている。
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