人工歯根として現在使用されているチタン製インプラント体をより強固に骨に固定させるために、インプラント自体に電位を与え常時微小電流を流し、骨の生成を促すことを目的とした研究である。 まず第一に、基礎実験として現在まで報告されている骨生成に最も適している20μAの電流について、ヒトより採取した血液中においてチタン製インプラント(フイクスチャー)を電極として使用し、電流と電位の経時的変化を観察した。チタンができるだけ血液中で安定で20μAの電流が生じたのは、500mV付近であるという結果が得られた。この実験中に溶液である血液および電極として使用したチタンには、マクロ的に特別な変化は生じなかった。 今後、チタン製インプラント体を電極として使用し、人工歯根部(フイスクチャー)とカバースクリューとを絶縁体で分離し人工歯根部(フイクスチャー)はチタンのままとし、カバースクリューを異種金属でコーテイングすることにより両者間で電位差を生じさせ、常に電流(20μA)が生じるような金属を選択しコーテイングし、このインプラント体を兎に埋入して、その後骨とインプラント体の接触度を経時的に物理的強度、および顕微鏡的による組織学的な所見を観察する段階である。
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